牛尾 晃汰
広報/PR
2019年10月3日
2020年東京オリンピックの開催まで1年を切り、インバウンド業界も大きな節目を迎えようとしています。訪日外国人数は2011年の大震災時を除けば、ここ10年右肩上がりで上昇しており、外国人旅行者の間でもいわゆる「ゴールデンルート」ではない「非ゴールデンルート」という地方に魅力を見いだす旅行者が増えたりと多様化が進んでいます。また2020年以降も訪日外国人数は伸び続けると言われています。しかし依然として食の多様化への理解など、旅行者に対してクリアしなければいけない課題が多く残ります。そこで今回は、現在インバウンド客の第二交通手段として注目を集める「タクシー」がインバウンドにとって、今後どのような重要な役割を持つのかを見ていきましょう。
〈日本タクシーの現状〉
タクシー業界では、インバウンド客に対して様々な施策を行ってきました。日本やその他1部の国を除き、タクシーの初乗り運賃が2~4ドル(約200円~400円)という事実を受け、2017年に約700円の初乗り料金を410円に変更しました。また電子決済や大きなスーツケースが入るワンボックスカーの導入など着実に東京オリンピックへの準備を進めてきました。しかし平成31年3月に国土交通省地方運輸局が発表した「訪日外国人向けタクシーサービスの利用促進に関する調査及び実証事業報告書」で、まだまだ改善すべき点があるという結果が出ました。
中でも1番気になったのは「値段」。多くの外国人旅行者が日本のタクシーサービスにおいて「高い」という認識があり、本当の意味でニーズにあっていないということがわかりました。
〈地方にこそ配車サービスが必要〉
「Uber(ウーバー)」という言葉を耳にしたことのある人もいるのではないでしょうか。
「Uber」とはアメリカ発の配車サービスアプリで自家用車で乗客を運ぶ、いわゆる「ライドシェア(相乗り)」というものです。今では世界77カ国で利用が1日のべ1000万回に上る規模にまで成長し、各国で独自のライドシェアサービスを展開する国も増えています。日本でも日本交通が運営する「JapanTaxi」が配車サービスを展開しています。また京都ではインバウンド客の増加により、連日バスが満員などで「観光公害」と呼ばれるようになり、2019年4月にUberがエムケイ株式会社(MKタクシー)と提携してサービスの提供を始めました。しかし都市部よりも地方にこそ配車サービスが必要ではないのでしょうか。始めにも記載したように近年訪日客の目的地は実に多様です。初来日の人たちの多くは、東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪という主要都市を巡る「ゴールデンルート」を辿って旅行をしますが、リピーターなど「非ゴールデンルート」を好む人も増えています。最近では、岐阜の馬籠宿といった公共交通機関では行けないような場所の人気も高まっています。また多くの訪日外国人がプランではなく、個人手配で来るように地域を上げたインバウンド対応が集客に繋がるのではないでしょうか。実際にジャパン・トラベル株式会社の旅行事業部で取り扱っている、静岡のお茶を間近に体験できる「Shizuoka Green Tea Experience」では実際にお茶をイメージしたラッピングカーに加えて、地元タクシー会社と連携することで海外から取材に来るケースを増えたようです。
▲インバウンド客に人気となりつつある岐阜県の「馬籠宿」。
まるでタイムスリップしたかのような雰囲気が人気の理由ではないだろうか
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