牛尾 晃汰
広報/PR
2020年3月25日
2019年1月に中国・武漢で発症が確認された新型コロナウイルスは現在(3/25付)、世界の172の国・地域に広がっています。世界全体で感染者は39万を超え、死者は1万7000人にも登ります。16日にはWHO(世界保健機関)が「*パンデミック」を宣言し、世界経済にも大きな影響が出ており最近では「コロナショック」という表現も使われるようになりました。3月24日には東京オリンピックの延期がIOC(国際オリンピック委員会)と日本政府間で合意されました。
<訪日観光客300万人超減少の恐れ>
新型コロナウイルスの影響は、インバウンド市場に多大な被害を与えています。三井住友トラスト基礎研究所は、3月3日に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年の訪日外国人(インバウンド)観光客が約311万人減少するとの試算を公表しました。データは2003年に流行した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の時と比較しています。しかしSARS流行時に比べて各国の渡航、移動の制限が厳しいことから影響はSARS以上になると考えられています。
試算の結果では、コロナウイルスがなかった場合と比較をして年間311万人減という結果になり、消費金額の落ち込みは4920億円にも上るという見解を示しました。
また第一生命経済研究所の試算では、今年6月までの経済損失は.3,3兆円にもなるとしており、オリンピック中止の場合には5.9兆円(内インバウンド1.8兆円)以上の損失になるということです。
<オリンピックは中止、延期の可能性が?>
先も述べた通り、3月24日にIOCと日本政府の間で東京オリンピックの延期が合意されました。安部首相は以前「予定通り」の開催を目指すとしながらもヨーロッパ諸国を中心に全世界での感染が止まらず、日本政府、IOC(国際オリンピック委員会)はアメリカメディアから「開催は無責任」という批判を受けていました。現にサッカーヨーロッパ選手権や南米選手権も開催を2020年から2021に延期することを発表し、中止という最悪のシナリオを回避することが出来たにも関わらず、今後も多くの困難が待ち受けていることが予想されます。
オリンピック延期で予想される困難
巨額の財政負担
試合会場のスケジュール確保
出場選手の再選出
大まかに上記の3つを挙げましたが、インバウンド市場において特に大きな影響を与えるのがコロナウイルス発生から終息後数か月間の訪日観光客の減少であることは間違いありません。しかし2番目の試合会場のスケジュール確保も後々大きな影響をもたらすのではないでしょうか。東京オリンピックという訪日観光客誘致、そして日本という国を世界にアピールするチャンスが中止という形で無くならないのは良いことですが、その後に控えているイベントを延期、もしくは中止にすることができなくてはオリンピック閉会後の訪日観光客減少に繋がるのではないかと私たちは考えています。
<オリンピックが延期になった場合の1年間をどう過ごすべきか>
報道によると中国本土におけるコロナウイルスのピークは過ぎ感染終息に向かっているそうです。しかしヨーロッパ、日本ではまだ感染のピークは確認できていません。感染終息に向かうためには感染のピークを遅らせ、爆発的な感染を止めることが大切だと言われています。
まずは感染拡大を止めることに尽力することが大切です。一時的に訪日観光客の数は減りますが、今後10年、20年の間に訪日観光客の数は確実に増えていきます。延期になった場合ピークが1年遅れることで更なる旅行資源の発掘、ブラッシュアップ、情報発信に時間を使うことができ旅行客が訪問した際に満足してもらうための受け入れ環境を整えていくことが大切なのではないのでしょうか。
*パンデミック:「パンデミック(Pandemic)」という言葉のもともとの意味は、地理的に広い範囲の世界的流行および、非常に多くの数の感染者や患者を発生する流行を意味。
参考
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