「外国人に優しい環境とは? 観光立国のための準備期間である今、知りたいこと」

コロナ危機後、回復が期待されるインバウンド市場

永松 紗英

トラベルコンサルタント

2021年9月14日

「新型コロナウイルスが終息したら旅行したい国ランキングにおいて、欧米豪の外国人旅行者部門では第2位、在アジア外国人旅行者部門では第1位に日本が選ばれました。」国境を越えた人の往来が途絶える中、日本貿易振興機構(JETRO)は公式サイトにて、このように前向きな調査結果を発表しました。

また、同機構は、現在日本は「インバウンド回復までの準備期間」にいると位置づけたうえで、成長のポテンシャルを秘めた地域での外国人観光客誘致の強化にも意欲を示しています。

この「準備期間」とは、具体的にどのような課題を示唆しているのでしょうか?今回は、多言語化、宿泊施設の改善点、交通面、さらに観光人材育成の視点から一緒に見てみましょう。

第一の切り口、多言語化

外国人観光客の満足度を向上させるためには、多言語化はまず避けては通れない道です。これは、宿泊施設や交通機関等、インバウンド業界に関わる全ての事業に当てはまります。

しかし、一口に「多言語化」といっても、ターゲット国籍の観光客が求める情報のリサーチ、プラン作成のための翻訳会社との擦り合わせ等、多言語化に伴う作業は想像以上に手間がかかります。また、多言語対応スタッフを雇う場合、一定のコストやリスクも発生します。

多言語化を真に成功させ、提供サービスに付加価値を見出すには、こうしたデメリットをどう最小限に抑えていくかがキーとなるでしょう。

成功事例として、スピンシェル株式会社による、民泊やホテルのフロント業務を遠隔ですることを可能にした「LiveCall(ライブコール)」が挙げられます。ビデオ通話で接客の完全遠隔操作を実現させることで、コストを抑えながらも多言語で対応できる体制を確立させています。

アフターコロナに向け、宿泊施設はどう備えるべき?

今年6月15日に公表された令和3年版(2021年)観光白書は、アフターコロナ後に予想できる多様なニーズに、今のうちに備えておく重要性を強調しています。

こうしたニーズの一つとして、特に地方における支払い手段の充実化があります。海外では、近距離でカードを電子機器にかざすことで簡単にデータ通信が可能な「NFC対応カード」の普及により、キャッシュレス化が進んでいるからです。昨年時点で、シンガポールで約6割、オーストラリアではなんと9割以上がこうした非接触型のIC決済で行われたようです。

観光立国を目指す日本は、こうした努力を訪日観光客にさせないようにしていく事が、アフターコロナ受け入れ態勢において焦点となってきます。

ホテル日航成田は、モバイル決済「アリペイ」と「WeChat Pay」を導入し、これらを日常的に利用する訪日中国人の誘致を実現させた良い例です。2017年には全体の宿泊者数に対し、外国人宿泊客が占める割合が45.8%であった事実も、成功の裏図けとして挙げられます。

また、決済端末の充実化に加え、無線LAN環境の分かりやすい案内といった「ストレスフリー」と、手すりの整備などの「バリアフリー」の2分野もポイントです。観光庁は、こうしたインバウンド対応拡充に励む宿泊施設向けに、費用の3分の1を支援すると公表しています。

誰もが移動しやすい交通環境を整え、観光消費を促す

また、国内旅行に必要不可欠な交通業界についても、外国人を含めた万人が移動しやすい仕組みづくりのため、観光庁・国土交通省は認知度の向上など様々な取り組みを行っています。

地方観光部へのアクセス手段である、レンタカー使用環境整備もそのうちの一つです。観光庁によると、2012年度から2017年度までの間に、レンタカーを利用した外国人旅客数は5倍(26,7万人から140,6万人)に増えています。特に沖縄では、訪日外国人の61%がレンタカー利用者であり、すでにメジャーな交通手段となりつつあります。

万人が快適に運転できるためには、序盤で触れた外国語対応の充実化はもちろんのこと、国ごとの交通ルールを配慮した、きめ細やかな情報提供も求められます。例えば、オーストラリアやインドは日本と同じ左側通行を採用していますが、欧州や中国などは右側通行のため、日本の交通ルールに慣れていない事があるのです。

観光業の未来を担う人材を育てる

最後に、変化し続けるグローバルスタンダードに広く対応するための、これからの人材育成について触れていきます。

まずは、経営層の人材育成です。例えば、沖縄県は、「人づくり・島づくり・感動づくり」をキーワードとした観光人材育成プログラムを展開しています。専門学校から観光会社までをまるごと巻き込んだ連携型の取り組みにより、観光従事者のスキルアップを図ります。

次に、インバウンド需要回復を見越した、通訳ガイド育成プログラムの拡充です。京都市による、独自の認定通訳ガイド紹介サイト、京都ビジターズホストの展開がその良い例です。依頼したい日にちや、対応言語(英、中、仏、西の4か国語)、興味のあるテーマ等でガイドの検索が可能です。また、新型コロナウイルスの流行によりガイドの活動が滞る今、通訳ガイドについて認知度が低い層に、SNSを通じてガイドの仕事に興味を持ってもらうのも大切でしょう。

観光業界における教育の質の向上も、ゆくゆくは外国人に優しい環境づくりのためのベースとなっていきます。将来の優秀な人材確保のためにも、国や観光業者による介入・支援が欠かせません。インバウンド対応とは、単なるサービスの翻訳作業のみならず、多角的な分野における長期的改善をふくむ観念であると言えます。

<参照記事>

https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000447.html

https://honichi.com/news/2021/08/24/kankohakusho202109/

https://honichi.com/news/2021/01/31/sightseeingxmaas/

https://www.toppan-im.co.jp/ic/nfc/

https://honichi.com/news/2019/08/22/inboundxrentacar/

https://www.youtube.com/watch?v=QizvKDVCeQE

https://honichi.com/news/2021/08/20/kankohakusho202108/#kankohakusho202108-6-1

https://honichi.com/cases/measures/settlement/settlementxryokanminshuku/

https://www.jetro.go.jp/invest/attractive_sectors/tourism/

https://honichi.com/news/2021/08/10/kankohakusho202107/#kankohakusho202107-1

https://www.toppan-im.co.jp/ic/nfc/

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