「遠隔地への冒険がテーマのアドベンチャーツーリズム、日本での普及見込みは?」

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今知っておきたい観光トレンド、アドベンチャーツーリズムとは?

アドベンチャーツーリズム(以下ATとします)とは、辺境地をふくめた地域社会への訪問を通じて知見を豊かにし、学びを得る旅行形式のことを指します。つまり、有名観光地をただ巡るありふれた旅行計画とは一線を画した、新しいタイプのツーリズムなのです。

世界最大規模のAT促進機関である米国・Adventure Travel Trade Association(ATTA)は、これについて、「身体活動、文化交流、自然との関わりの3つの要素のうち2つを含む観光活動である」と定義づけています。

ここでの「アドベンチャー」の位置づけは、実はかなり幅をきかせたものとなっています。場合によっては、実際に危険が伴う探索や旅行日程を含む事もあります。切り立った崖でのロッククライミングのように、専門的かつ肉体的技術を必要とするケースがこれに当たります。

その一方、万人の楽しめる川下り体験、手軽な登山やハイキングなど、年齢を問わず人気を集める活動も、ここで言う「アドベンチャー」の概念に含まれます。また、地元の食文化や伝統の発見も、先述のATを定義する要素のひとつである「文化交流」に当たります。

そんなATが、インバウンド業界でも市場再活性化のカギとして今脚光を浴びていることをご存じでしょうか。実は、ウィズコロナ時代の今でも、地域社会の観光事業を潤す新しい概念として、日本での普及が期待されているのです。

ターゲット層と、その特徴は?

今年9月20日、AT促進が目的の世界一大イベント、「アドベンチャートラベル・ワールドサミット2021」がアジア初となる北海道で開催されました。日本でも目が離せないこの観光トレンドにおいて、ターゲットとなる観光客の特徴を見ていきましょう。

先述のATTAによる、観光客の学歴・所得に関する調査によると、ATのターゲットとなるのは主に欧米豪出身の、高学歴・高収入で、未知の世界に飛び込む事で自身の視野を広げることを求める観光客であるようです。

重要な割合をしめる欧州の観光客については、新型コロナウイルス流行による国境制限により、2019年6月に比べ欧州外へ旅行する旅行客数は98%減少しました(2020年6月現在)。

それでも、パンデミック後の市場回復について前向きな意見はまだ存在します。

オランダの外務省サイトによると、ATでは小規模なツアーオペレーターが多いことから、大手観光会社よりもかなり忠実なリピーター層が多い傾向があるといいます。

さらに、観光客による地域社会への高い還元率も、早急な市場回復が期待されるゆえんです。一般的マスツーリズム旅行者の消費額のうち、地域経済に還元される額が14%なのに対し、アドベンチャートラベラー(以下AT観光客とします)は65%であるという研究結果もあります。

さらに、AT観光客一人当たりの消費額の大きさも、市場回復に弾みをつける特徴となっています。同研究によると、AT観光客は一般的な旅行客と比べ、1.7〜2.5倍もの額を消費します。ある地域が1万ドル(約110万円)の利益を生み出すには、96人の一般クルージング観光客の招致が必要な一方、AT観光客の場合はたったの4人で済むと言います。

日本のインバウンド業界は、どうアドベンチャーツーリズムを発展させるべき?

こうした観光立国に向けた高いポテンシャルを、日本のインバウンド業界が最大限に引き出していくには、主要ターゲットである欧米豪の旅行者向けのパッケージ開発が軸となります。その成功を左右する要素のうち、特に重要となる3つを、紹介していきます。

まずは、長期の滞在期間でも楽しめるかどうかです。訪日欧米豪観光客は、観光の目的を問わず滞在日数が比較的長いためです。近隣のアジアからの一般旅行者で6日以下しか滞在しない方々が約6割を占めるのに対し、欧米豪の旅行者は8割程の方々が7日以上の長期滞在です。

次に、ATパッケージを提案する相手が外国人観光客である点です。日本語が必ずしも理解できないお客様目線で旅行商品を作る際に考慮すべき点は、枚挙にいとまがありません。

例えば、現地の移動手段。こうしたツーリズムの長所は、地域社会の訪問を通じた非日常な体験ですが、こうした目的地へは公共交通機関でのアクセスが厳しい事があります。山間部へのアクセスがレンタカーやタクシー以外では難しい四国地方がそれに当たります。公共交通機関でなんとか移動が出来ても、肝心の多言語対応が追い付いていない事も珍しくないのです。

先月の弊社インバウンドコラムで、「外国人が本当に日本で旅行しやすい環境」について,

移動手段を含めて多角的に掘り下げているので、こちらも合わせてチェックしてみて下さい。

最後に、好奇心旺盛な訪日観光客のニーズを踏まえたうえで、何を実際に地域の特性としてアピールするか?という「テーマ」を確立させることも重要です。

沖縄総合事務局による「泡盛琉球泡盛海外輸出プロジェクト」がその良い例です。英語での各種プロモーション動画を通した、14世紀後半から愛され続ける地元の蒸留酒「泡盛」と、同じく沖縄発祥の「空手」を組み合わせた地域包括支援が強みです。沖縄の地域社会に深い関心を示す外国人観光客をはじめ、実際に空手家として活動する外国人観光客の招致に期待がもてます。

我が国には既に、ユニークで素晴らしい観光資源が豊富にあります。それをどうAT商材として適切に活用し、ストーリー性をもたせていくかが今、課題となっているのです。ATのさらなる発展のためには、柔軟な姿勢で試行錯誤を重ねていくことが不可欠でしょう。

<参照記事>

  • https://www.adventuretravel.biz/events/summit/japan-2021/
  • https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/adventure.html
  • https://www.yamatogokoro.jp/column/kaisetsu/43997/
  • https://www.yamatogokoro.jp/column/kaisetsu/44035/
  • https://www.cbi.eu/market-information/tourism/adventure-tourism/adventure-tourism/market-potentia
  • https://www.youtube.com/watch?v=bH6ohllMBJ0
  • http://www.ogb.go.jp/soumu/017012/karate
  • https://www.businessfinland.fi/globalassets/finnish-customers/news/events/2018/visit-finland-2018/of230518-christopher-doyle-adventure-travel-trade-association_web.pdf
  • https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

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